前立腺炎

前立腺はくるみ大の分泌腺で、男性の生殖システムの一部をなすものです。この分泌腺は2つの丸い突起あるいは部分から出来ており、組織の外層で覆われています。前立腺は直腸の正面で、尿を貯める膀胱のすぐ下にあります。前立腺は、尿がそこを通って体外に排出される尿道に取り巻かれています。

科学者は前立腺の全ての機能を知っているわけではありません。しかし、主な役割のひとつは、セックスのクライマックスに精子がそこを通って移動する際に、液体を尿道に絞り出すことです。この液体は精液の補給を助けますが、また精子を活性化し、かつ膣の通路の酸性度を低下させます。

前立腺炎は前立腺の炎症です。前立腺の炎症は、急性であったり慢性であったりします。前立腺炎の症状は特有ではなく、他の多くの泌尿器の病気やそれ以外の病気と類似の症状を呈します。症状は患者によって大きく異なり、ある場合は目立った症状が無いこともあり、とても急性で激しい症状のために救急医療を求めなければならないこともあります。

症状がある場合には、以下のようなものが含まれます。

・熱
・寒気
・頻繁な尿意
・夜間の頻繁な排尿
・困難な排尿
・ひりひりするまたは苦痛を伴う排尿
・会陰部(陰のうと肛門の間の領域)と背中の下部の痛み 
・関節や筋肉の痛み
・柔らかいまたは膨張した前立腺
・尿への出血
・苦痛を伴う射精

前立腺炎は色々な原因が考えられます。例えば、
・バクテリア、菌類、ウィルスによる感染
・トラウマ(機械的または化学的)
・免疫システムが自身の体の細胞を攻撃するような自動免疫プロセス

様々な原因の可能性があり、前立腺炎は3つのタイプに分類できるでしょう。

・急性感染性前立腺炎
・慢性感染性前立腺炎
・非感染性前立腺炎

急性感染性前立腺炎は一般的ではなく、通常バクテリアによって起こります。標準的な医学的処置は、典型的には抗菌剤の投与または抗生物質を含んでいます。急性感染性前立腺炎は突然に始まり、頻度や緊急性、下腹部の痛みや圧迫、ヒリヒリする排尿、そして寒気や熱といった症状は激しく、命を脅かすこともあります。 

慢性感染性前立腺炎もバクテリアによって引き起こされ、通常抗菌剤の投与または抗生物質を用いて処置されます。急性感染性前立腺炎と異なり、慢性感染性前立腺炎の唯一の症状は再発する感染性膀胱炎(膀胱の感染症)でしょう。慢性の症状は急性感染性前立腺炎のように激しいものではありませんが、その慢性で繰り返し起きるという性質のために衰弱させる可能性があり、生活の質に著しく影響を与えることがあります。 

非感染性の前立腺炎はバクテリアに起因しない、残りの前立腺炎です。これに分類される前立腺炎は、治療の成功が困難です。標準的な医学的治療は普通投薬、外科手術、バイオフィードバックのような行動治療となります。一般的に慢性で、症状のひどさが増大したり減少したりする反復性のものです。 

エドガーケイシーの見解
エドガー・ケイシーは、色々な形態の前立腺炎に悩む男性に沢山のリーディングを与えました。現代医学の文献と一致して、この病気に関係した症状を引き起こす、前立腺の炎症の原因となる色々な要素にケイシーは気付いていました。例えば、リーディング5357-1では、前立腺の炎症は感染症であるとしています。

現代医学は非感染性の前立腺炎のために混乱させられていますが、ケイシーリーディングではこの型の病気の原因を理解するために、多数の手掛かりを提供しています。いくつかのリーディングでは、脊椎の中枢からの神経反射の役割について述べています。通常は脊椎の下部が関係していました。一般的に神経反射は回腸叢を経由して伝達されます。ここは骨盤の臓器や生殖システムに関係した神経節です。 

前立腺炎が神経反射に起因しているかどうかに関わらず、消化と排泄のシステムの他の臓器が、この障害の原因として常に含まれていました。肝臓、腎臓、膵臓そして結腸の問題が、しばしば前立腺炎と関連していました。こうして、原因と処置に関して、具体的(局所的)な見地とシステム的(一般的)な見地の両方から見ることで、最もよく前立腺炎を見渡すことができます。

エドガー・ケイシーによって、前立腺炎に対する具体的(局所的)処置の形がいくつか提案されました。最も一般的なものはエリオットの機械(Elliott machine)です。エリオットの機械は一種の水治療で直腸の管に熱い(華氏130度-摂氏54度)お湯を導入するものです。残念ながら、この水治療の方式はもはや使用されていません。

前立腺のマッサージは、ケイシーのリーディングで提案された前立腺炎に対するもう1つの具体的治療法です。この治療は、現代医学に於いても前立腺炎に対する有効な処置として認められています。

半身浴はエドガー・ケイシーが提案した一種の水治療ですが、同時に前立腺炎に対する医学的な治療処方の一部でもあります。半身浴は熱いお湯か冷たい水の湯船に座っているものですが、時には2つの湯船を交互に使うこともあります。下半身の循環に対する刺激は、前立腺炎の不快感を取り除く助けになります。

ケイシーリーディングで提案された前立腺炎に対する一般的(システム的)な処置は主に消化、循環と排泄システムの改善を目指しています。食事療法、ゆるやかな運動、穏やかな方式の電気治療(放射線装置)、脊椎の矯正や一般的なマッサージ、腸洗浄、そしてヒマシ油湿布は、これらの生命維持システムの機能を改善することを目指した治療であり、ひいては前立腺の治癒を助けるものです。一般的に言えば、前立腺炎に対して手術は提案されませんでした。心身一体というのがケイシーの典型的な取り扱い方でしたが、治療の情緒的・精神的側面が強調されました。 

前立腺炎に関するケイシーの情報に基づいて、その処置について提案された基本的な治療法を以下に示します。

1.体内浄化:水治療は毎日グラスに6杯から8杯の純水を飲むこと、腸洗浄(こちらの方が望ましい)か浣腸、そして新鮮な果物と野菜による洗浄食事療法を含んでいます。腹部全体を覆うようなひまし油湿布は肝臓と腸を経由した排泄を改善するために提案されています。便秘が問題であれば、穏やかな下剤が有効でしょう。蒸気風呂は皮膚を通した毒素の排泄を助けます。

2.手を使った治療(脊椎の矯正とマッサージ):循環を妨げ排泄を減少させるあらゆる圧力を取り除くためにオステオパシーまたはカイロプラクティックの処置が提案されています。ゆるやかなマッサージが体の緊張をほぐし循環と排泄を改善するために提案されています。前立腺の内部マッサージは有効でしょう。(この治療が適切かどうかは、主治医とご相談下さい)

3.食事療法:ケイシーの基本的食事療法は消化と排泄の改善を意図しています。食事療法は適切な酸とアルカリのバランスを保つことと、一方で毒素を生みだしたり、体から活力を奪う食べ物を避けることに非常に重点を置いています。原則的に、揚げた食べ物と精製した炭水化物(ジャンクフード)を避けて、主に果物と野菜を中心にした食事です。特定の食べ物の組み合わせが強調されています。 

4.エネルギー投薬:循環の改善を意図した上記の治療に加えて、循環のバランスを更に助けるためにインピーダンス装置(放射活性装置)が提案されています。

5.態度と感情:治療の情緒的・精神的側面は頻繁にケイシーのリーディングで言及されています。特に治ると言うことを強く望み、そして信じる態度は重要です。情緒面または感情面の積極的な姿勢は、治ることに向かう高い目的(理想)に集中することで創られ、また維持されます。

脚注:上記の情報は、自己診断や自己処置を目的としたものではありません。ケイシーの健康データベースの情報を利用するに当たり、資格をもった健康管理の専門家にご相談ください。

ひまし油湿布

インピーダンス装置

原文:翻訳:岡田 栄