パーキンソン氏病
パーキンソン氏病について医学で分かっていること
パーキンソン氏病は、慢性でゆっくり悪化する中枢神経系の障害です。1817年にジェームス・パーキンソンが最初に記述したので、その名前が病気に付けられました。当初は「振戦麻痺」として知られ、ケイシーのリーディングやインデックスではしばしばこの名前で引用されています。
アメリカでは50歳を超える人の1%(約50万人)がこの病気に掛かっていて、脳卒中と関節炎に次いで3番目に高齢者に多い慢性病です。パーキンソン氏病は普通40歳を過ぎて発病し、60代の患者が最も多くなっています。
世界中の国、全ての民族、全ての社会経済階級で経験されてきた病気です。大多数の場合、病気の正確な原因は分かりませんが、時には特定の薬(神経弛緩剤を含む)、毒素(マンガンやMPTPを含む)、脳炎/postencephalitis (特に1920年から1940年の間に発病したもの、その際に多くのケイシーリーディングが与えられた)が原因であったり、それで悪化したりすることもあります。
訳注:振戦(しんせん、Tremor)
筋肉の収縮、弛緩が繰り返された場合に起こる不随意のリズミカル運動
パーキンソン氏病は、臨床的には3つの基本的な特徴があります。
静止時振戦、硬直と緩慢な動作(動作緩慢として知られています)です。
症状はしばしば知らぬ間に始まり、患者は普通症状がいつ始まったのか特定できません。そして、最初は病気の程度に気付かないことがしばしばです。
7割のケースで、ゆっくりした「丸薬丸め様運動(pill-rolling)」 が初期の病状であり、片側で起きることもあります。一方、硬直や動作緩慢は最も大きな機能障害を引き起こします。それは歩くことや日々の生活の活動に影響します。
病気の他の特徴もこのことから派生します。それは、飲み込むこと、書くこと、正常な声の大きさで話すことや顔の表情と瞬きが失われるといったことです。自律神経系の問題は、便秘、膀胱の機能不全、姿勢を変えた時の血圧低下、多汗などです。多くのケースで鬱になったり、おおよそ30%で認知症に進展します。
訳注:丸薬丸め様運動(pill-rolling)
指先で小さな玉を丸めるような運動
細胞のレベルで最も一般的な所見は、神経系のいろいろな個所で特定の色素細胞が失われていることです。その細胞には、(中脳の)黒質、青斑や迷走神経背側運動核といった細胞の塊が含まれています。細胞が失われることで、正常な時は暗いこれらの領域が明らかに淡い色になる場合があります。1例として、黒質には通常40万以上の細胞があり、正常な老化で80歳までに約20万まで減少します。
しかし、パーキンソン氏病の患者では、この数が常に10万を下回っています。(しかも)残った細胞の多くは見た目が変わっています。交感神経節やいくつかの下部脳幹神経節でも細胞の減少が見られます。
特に重要な点は、この細胞の変化が神経伝達のバランスに影響を与えることです。具体的には、失われた細胞の多くは、ドーパミンを造ることに関係しています。ドーパミンが失われることは別の神経伝達にも不均衡を生じると信じられています。現在パーキンソン氏病に最も一般的に使われている薬はLドーパで、これは血液と脳の間の境界を通過できるドーパミンの先駆体です。この薬を使うと脳内のドーパミン量が増加します。
パーキンソン氏病に関するケイシーリーディング
この病気に関するケイシーリーディングを調べて見ると、診断が明確にパーキンソン氏病とされているものとして、42名の患者が77のリーディングをエドガー・ケイシーから受け取っていました。これらのリーディングは1923年から1944年の間に書かれたものです。リーディングを求めた患者は、23歳から73歳に亘っています。
ケイシーによると、この病気の最も一般的な原因は神経系の協調不全です。この病状は神経系の範囲のことですが、最初の問題は分泌腺にあると述べられています。ケイシーリーディングでは分泌腺は再生の過程を通して体の健康を維持するのに重要な役割を果たしていると見なしています。以下にこれらの異なる系がどのようにパーキンソン氏病に関係しているかのいくつかの例を示します。
(Q) パーキンソン氏病の麻痺の原因は何か?
(A) 腺の分泌が妨げられている。その結果、交感神経系と脳脊髄系の間の反応と協調の両方に於いて、分泌の協調不全がもたらされている。お分かりの通り、これらは徐々に支援するものだ。しかしすぐに単なる苦痛緩和剤であるこれらの物質の必要性が分からなくなるだろう。それは体の影響を治癒するものを自分で取り込むからである。(754-1)
これらは、主に分泌腺システムに対する効果に関係しているに違いない。しかし、破壊的な力が神経系により直接の影響を与える。それは脳脊髄系と交感神経系あるいは自律神経系の間で、体の反応に関して生じる、協調の片寄り方によるものである。(1555-1)
我々の見たところ、体が意識を無くしている場合を除いて、症状は脳から運動中枢への自発的な神経収縮を制御できない段階に至っている。これは、体のどこでどのようにこれらの活動が妨げられているか示している。交感神経系と脳脊髄神経系の間でその協調をコントロールしている排出循環器官のあちこちで妨げられている。(4085-1)
いくつかのリーディングでは、原因としてその他の可能性を述べています。水銀の毒、薬、「感染性のもの」などが挙げられています。
ケイシーの処方処置で最も一般的なものは、神経系の間の協調を回復するのを助けることを目指しており、再生過程を助ける分泌腺を活性化することです。2つの主要な方法は、マッサージとウェットセル(湿電池)を使うことです。
(ウエットセル(湿電池)は、ケイシー製品を提供しているいくつかの業者から購入できます。ウェットセルの使用方法の詳細は、回覧ファイルを参照下さい。)※回覧ファイルの入手方法は、日本エドガー・ケイシーセンターにお問い合わせ下さい。
マッサージは73%の症例で勧められました。単純であるために過小評価され勝ちですが、ケイシーリーディングではマッサージは循環系と神経系の両方に対して、直接にまたは生理反射的に有効であるとされています。
最も一般的に提案されているマッサージ・オイルは、オリーブ・オイルとピーナッツ・オイルです。その他の多くの成分が、時に応じて混ぜ合わされます。その成分にはシーダー・オイル、サッサフラス・オイル、松葉油、ウィッチヘイゼル、ミルラ樹脂などがあります。
マッサージは普通、入浴後かシャワーの後で、脊椎に沿って行います。首や背骨の下部の叢の部分(訳注:神経や血管、リンパ管が絡み合っている場所)では、特に注意を払う必要があります。
ウェットセルは64%の症例で提案されました。ウェットセルは、原理的には蒸留水・硫酸銅・硫酸・亜鉛と柳の炭の溶液に金属電極を浸した電池です。この構成で非常に弱い直流電流が発生します。
ほとんどの場合、この弱い電流は、もう一つの化合物を入れた「溶液瓶」の中を流れます。パーキンソン氏病の場合、神経系に関係したほとんどの慢性症状の場合と同様に、その化合物は通常、塩化金です。(ケイシ―がウェットセルを勧めた場合、90%で使われています。)その他の提案された化合物は、樟脳と銀(それぞれ41%)、アトミダイン(9%)、ウィッチヘイゼル(4%)です。
ニッケル電極は通常「へそと乳び管の叢(umbilical and lacteal duct plexus)」の上に置き、銅電極は脊椎に沿って4つある中枢のうちの1つの上に置かれます。溶液瓶の中に金を用いる場合は、銅電極は通常第9椎骨の上に置かれます。樟脳と銀の場合は、この電極を脊椎の第二中枢か第三中枢の上に置くのが最も一般的です。
マッサージとウェットセル装置は、非常に多くの場合に共通して勧められる処方ですが、他のいくつかの処置がケイシーが取り扱ったパーキンソン氏病のケースのそれぞれ約12%で記されています。その処置には蒸気浴、アトミダミン、オステオパシーやインピーダンス装置(放射活性装置)が含まれています。
(注記:インピーダンス(放射活性装置)は、その用語からイメージするような毒性のある放射能を発生させるものではありません。この装置もケイシー健康商品の業者から購入できます。インピーダンス装置の構造と使用方法の詳細は、それに関する専用の回覧ファイルを参照ください。)
食餌療法について、最も一般的なアドバイスはカルシウムを多く含んだ食べ物でした。ケイシーのレシピによる「ビーフジュース」は、折にふれて一般的な衰弱の回復にも勧められています。薬に関する提案は、現在の処方箋を継続するというものから、リーディングの適用が有効かどうか見極められるまで投薬を見合わせるというものまで様々です。
パーキンソン氏病のケースにおいて、ケイシーが治療後の予見をする際、リーディングを受け取るそれぞれの患者がどのようになるかという予測には大きな違いがありました。
6人の患者は病状が進行していて、アドバイスは症状を軽くすることを主眼に置かれていました。他の患者の場合、リーディングは回復について非常に楽観的なものでした。何人かの患者に対しては、治療を始めて1~3ケ月で劇的な変化が期待できるということでした。
(注記:上記の解説はエリック A. メイン医師が書いたものです。パーキンソン氏病に関する回覧ファイルの情報も含んでいます)
脚注:上記の情報は、自己診断や自己処置を目的としたものではありません。ケイシーの健康データベースの情報を利用するに当たり、資格をもった健康管理の専門家にご相談ください。