髪の毛の喪失(薄毛、抜け毛、禿げ)
禿げの要約
I. 生理学的な考察
ケイシーによると、内分泌腺の機能不全と脊椎の圧迫(亜脱臼)は、髪の毛の喪失(禿げ)の、圧倒的かつ最も多くの要因となっています。それはときに、爪や皮膚の変化(異常な色素沈着や白斑など)を伴うこともあるかもしれません。
内分泌腺の機能不全(通常は甲状腺、場合によっては胸腺や副腎が関係していることもあり)は、食事により発生しているようです。即ち、カルシウムのような必須要素の量が足りない、カリウムのような他の要素が過剰である・・・など。腺の機能不全以外の原因としては、循環不足、ストレス、感染症、毒性のある化学物質(化粧品に含まれるような)、一般的な衰弱などがあります。
最も一般的に関係している内分泌腺は、甲状腺です。甲状腺が適切に機能するために必要な何かの要素が失われた場合、通常は排出されるべき毒素がシステムに蓄積されてしまうようなのです。そうなると、炎症、鬱血、循環障害が起きて、頭皮そして恐らく爪や皮膚に影響を及ぼします。
上で述べたメカニズムと関係なく、甲状腺が頭皮や爪、皮膚への循環をある程度調節することは知っておく価値があります。そのような障害が起きた場合、状態の程度に応じて、爪や皮膚の変化を伴うケース、伴わないケースがありますが、髪の毛を失うという結果になってしまいます。
甲状腺や他の腺が関わることなく、他の原因で循環に障害が起きても、同じ影響が生じるでしょう。しかし、それはかなり希なケースです。例外は脊椎の圧迫(亜脱臼)で、ほとんど腺の障害と同程度の頻度で起こります。しかし、脊椎の圧迫が最初の条件だとしても、腺(特に甲状腺)を通る循環が障害を受けることで、結果的にしばしば腺が関係することになるということを知っておくべきです。こうして、大多数のケースで、腺がこの症状の根本原因または付随的な原因となるのです。
1,2の例で、付随的な原因として出産前の特質が挙げられていますが、このことや遺伝に関して確かな情報はありません。
II. 治療の論拠
提案された処置は、関わった病気の経過を反映しており、以下のように分類できるでしょう。
1. 腺の機能不全を是正することは、不足しているものに関して、普通食事の提案を含んでいる。アトミダインや時には腺(甲状腺や副腎など)の抽出物質が必要である。
2.オステオパシー:頭髪を失うだけでなく、循環系や分泌腺またはその他の臓器の機能不全を引き起こしていると思われる脊椎の圧迫を調整するため、数回にわたる施術を受けること
3.その他:髪の毛の喪失に影響している、または、更に悪化させている基本的な病気のプロセスの合併症(例えば、脊椎の圧迫は通常、多岐にわたる影響を生じる)のみならず、潜在する障害(例えば、ストレスや毒となる化学物質を避ける、感染症への処置など)をケアすること
オステオパシーによる背骨の調整は、頭皮、爪、皮膚への循環を改善し、有益な変化をもたらします。脊椎の障害によって消化(消化吸収や排泄)がうまくいっていない場合には、消化管で起こっていた毒素の蓄積が排除されたり、更に関係しているエリアの循環も改善されていきます。それほど明確ではないですが、通じ薬や浣腸などによって毒素を排泄することで同じような効果が得られることもあるでしょう。
これらのいくつかの例はケイシーが記述した生理学が正しいという前提に基づいています。直感的にそれは私には理にかなっていると思われます。
III. 提案された治療方法
現在のところお勧めの医学的処置が確立されていないため、禿は普通の医者が処置できる問題ではありません。
エドガー・ケイシーのリーディングの研究から、以下のことは普通の患者にとって合理的な対処法だと考えられます。
1. 腺の欠陥の是正
・アトミダイン(ヨード濃縮液):いろいろなプログラムが処方されている。摂取量を決めるのに定まった公式は無い。1つの提案は以下の通り。
7日間1滴を続けて飲み、5日休む
7日間2滴を続けて飲み、5日休む
7日間3滴を続けて飲み、5日休む
(上記の流れを1、2度繰り返してもよい)
・ひどく欠乏している場合は、アトミダインと組み合わせて、数週間に亘り週に2~3回、甲状腺抽出物質を少量。
・必要に応じて他の腺の抽出物(代替品)例えば、副腎。
・ミネラルの不足や過剰を是正する。(例えば、カルシウム不足、カリウム過剰)カルシオス(Calcios)は優れたカルシウム源です。(クラッカーの上に1枚乗せて1日置きに摂る)
(訳注)ケイシーは甲状腺を活性化するためにアトミダインというヨードの濃縮液を勧めています。ケイシーが生きていた時代、アメリカ人の食生活には海産物や小魚の内臓など、ヨード分を含む食事を食べる習慣がなかったこともあり、アトミダインが処方されていますが、日本人は昆布やワカメなどを日常的に食べることもあり、ヨード分が極端に不足している、ということはないかもしれません。
頭皮や爪などの状態や食生活からみて、甲状腺の機能不全があると思われる方で、アトミダインの摂取を希望される方は、アメリカから個人輸入で入手可能です(日本では食品として輸入や販売が許可されないため、個人の責任において入手して下さい)。甲状腺や副腎の抽出物の入手経路は不明です。
・特別食
活力源を逃がさないように)パタパーペーパーに包んで調理したジャガイモ(アイリッシュポテト)の皮は、適切な甲状腺機能に不可欠な要素を提供する。週に3回以上食べるとよいだろう。(焦がさない限り、あぶっても焼いてもよい。)
(訳注):パタパーペーパーは少量の水と一緒に食材を蒸し煮するもの。無水鍋で代用可能
よりよい甲状腺の活性のために有効な他のものとして、かんきつ類のジュースがある。オレンジジュースとレモンの組み合わせ、またはグレープフルーツジュースとライムの組み合わせ。アトミダインと組み合わせてこれを飲むことで、甲状腺に作用して頭皮への循環を改善する。海産物を週に3回摂ることが提案された。にんじんはよい。
避けるもの:揚げもの、脂分の多い食べ物、揚げた肉、でんぷん、白砂糖、(たまねぎ、にんにく)
(訳注):原文では避けるものとして、 「たまねぎ、にんにく(onions, garlic)」とありましたが、リーディング3904-1に「Do eat more of sea foods, more carrots, and - while certain times will have to be chosen for such - do eat onions and garlic」とあります。タマネギやニンニクを食べるか食べないか、どのように食べるかは、ご自身で判断してください。
2.オステオパシー
脊椎を痛めた経緯があるか、他の症状や兆候からこれが妥当と言える場合は、オステオパシーは有効だろう。そういったことが無い場合でも、甲状腺、頭皮、爪、皮膚などへの循環が強められるので、数回の施術は恐らく効果が期待できるだろう。処置の回数や手当を施す範囲は、各自の状況に応じて検討すべきである。
3.局所的な方法
・頭皮に対して未精製原油(茶さじ1杯)のマッサージを30分から45分続ける。その後、20%の穀物アルコール溶液で洗浄する。続いてワセリンを頭皮に刷り込むマッサージ。(ベタつき過ぎないように)
代用として、純粋なブタのラードを用いた頭皮マッサージがあり、オイルキャップで頭を覆って、一晩放置する。
朝、オリーブオイルシャンプーで洗い流して、続けて少しのアルコール(1オンス(30ml)の水に穀物アルコールを1滴)を加えた白色ワセリンでマッサージをする。週に1回どちらかを行う。
・頭皮、脊椎、肩甲骨、臍帯部への紫光線の照射(20~25回)。全部で5~10分を毎日行う。代用として、紫外線照射を用いてもよい。これは頭皮と脊椎に限定して3日毎に行い、20~25回の施術を3~5分かけて行う。
4.その他
便秘薬、洗腸、マッサージなどを用いて適切な排泄を維持すること。ジアテルミー(透熱療法)、バイブレーター、水治療、インピーダンス装置もいくつかの例では提案された。
リーディング636-1で、頭髪の色を回復するための処方が与えられています。投薬量は茶さじ半分で、食後に日に3回、10日続けては5日休むという周期が示されています。(フォーミュラ636)
ステップ1と3は必須のようです。一方、2と4は処置するケースに応じて、療法士の裁量で用いられるでしょう。
[注記:上記の解説はHezakiah U. Chinwah, M.D.が書いたもので、Physician's Reference Notebookからの抜粋です。]
脚注:上記の情報は、自己診断や自己処置を目的としたものではありません。ケイシーの健康データベースの情報を利用するに当たり、資格をもった健康管理の専門家にご相談ください。