流産の予防(ひまし油湿布)

ウイリアム・マクギャレイ医学博士

ある妊娠中のご婦人が、9回目の流産のおそれがあるということで、出産前のケアのために来院された時、私は数年前に診察をしたある患者のことを思い出しました。

25才だったその患者は妊娠2ヶ月半で流産しかかっていました。彼女は膣からの出血が始まったことに気が付いてから24時間後にやってきました。出血は夜の間は止まっていたものの、骨盤あたりに強い痛みが続いていました。

彼女の妊娠後の最初の検査では、血圧は正常(上が100で下が60)、体温は華氏99度(摂氏37.2度)、内診によると妊娠初期で、子宮が大きくなり、子宮頚が柔らかく青みを帯びていることが分かりました。生理は13週前に止まっていました。そこで、私たちは妊娠初期で流産の危険ありと診断しました。

私たちは彼女に3日間、ベッドに安静にし、1日3回、1時間ずつ下腹部へひまし油湿布(加 温しないもの)を1週間やり、そしてその後は週に3回のひまし油湿布を4週間続けるようにと指示しました。その後の検査では、骨盤の痛みはその後3日間の うちに消え、しかも妊娠期間中、再出血もなく、9ヶ月目(訳注:西欧では妊娠期間を9ヶ月と数える)で正常に出産しました。

私たちが関わった最近のケースには、17才での最初の妊娠以来ずっと妊娠しても出産日まで持たずに流産していたあるご婦人の例があります。彼女は8回続けて妊娠4ヶ月の徴候を示す時点で自然流産をしていました。35才になって彼女は流産を防ぐため絶対安静を試みてさえいました。それにもかかわらず、また流産を繰り返していました。初めて彼女をクリニックで診察したのは、妊娠15週目の時でした。

出産前の栄養学的なケアとして、彼女は基本的な食事療法下に置かれ、ビオフラボノイド(訳注:毛細血管の透過性を調整する)と一緒にマルチビタミン、ビタミ ンE、ビタミンCなどを与えられました。またビジュアライゼーションとアファメーション(訳注:瞑想を高める確信の言葉)の使用が推奨され、ベッドでの安静が続けられました。骨盤部分のひまし油湿布(加温しないもの)は直ちに開始され、毎日24時間継続して実行されました。彼女の妊娠は持続しましたが、妊娠6ヶ月の時に子宮の収縮が始まってしまいました。彼女はひまし油湿布を止めてしまっていたのです。というのも産科医が彼女に「もう危険はない」と伝えていたからなのです。

ひまし油湿布を再び始めて、彼女は危機を切り抜けました。しかし彼女の産科医は出産が32週目まで伸ばせれば幸運な方だろうと言っていました。彼女は32週ではなく、39週の時に健康で4300グラムもある元気な男の赤ちゃんを産みました。

興味深いことに、赤ちゃんは7ヵ月半まで逆子だったのです。そして母親は産科医からおそらく帝王切開が必要であろうと告げられていました。しかし私たちは彼女に、お腹の赤ちゃんに話しかけて「回転する」必要があることを説明すれば、ちゃんと自然分娩が出来るでしょうと教えました。赤ちゃんは聞き入れてくれました。そして出産時には正常な胎位で生まれてきたのでした。

この癒しの神秘とは何でしょうか?癒しはあらゆる形態を取ります。上記の段落であげた産婦人科の患者たちにとって、癒しは中世に「キリストの御手」と呼ばれたヒマの実から搾り取られたオイルという思いもよらないものからもたらされました。エドガー・ケイシーは、しばしばこの種の使用法を指示しました。
そしてひまし油は天から地へ霊的なエネルギーをもたらし、ちょうど錆びた蝶つがいに使用するオイルのように、そのエネルギーを身体の内部で働かせるのだと述べました。
癒しはまた、栄養作用を通してもたらされました。何を食べ、何を考えているかが、その人を作り上げると繰り返して言われているとおりです。ですから食事療法の重要性を決して軽く見てはいけません。また最近診察したこの患者の赤ちゃんにもっと楽に出産ができるように、より正常な胎位をとってくれるよう頼み、事 態が好転するように心を用いました。いまだ生まれぬ赤ちゃんとコミニュケーションをすることは勧められることです。

妊婦自身が妊娠を継続することに備える際に、心と身体がより健康な状態にあることを視覚化するのに心が用いられました。彼女は祈りもしていたと確信していま す。祈りはおそらく、その人がまずしなければならないことですし、最も大切なことでもあります。つまり、肉体が用いられ、心も効果をあらわし、外部の力が少し助けになり、そこに聖なる影響力も加わっていたのです。

妊婦は二人ともひまし油湿布が効くと確信していました。適用する療法を患者が信じている場合、精神的態度と感情は常に治癒を促進します。そして全ての感情は内分泌腺を通じて働 き、肉体に対し建設的もしくは破壊的な活動を生み出していることを肝に命じておく必要があります。ケイシーはある人にこんなことを言っています。

「心配しすぎるな。なぜなら、確かなことだが、心は創り手なのだ。そして心配しすぎは組織のすみずみにおける適切な反応を阻害する壁をもたらすであろう。肉体における同化もしくは排泄のための血液循環上の力に関係するものを阻害してしまうのだ。

しかし、これらの影響力、正常な排泄、ほぼ正常な同化などが肉体において何事もなく保たれるならば、肉体は、その経験におけるあらゆる段階において再生されるのだ。精神的態度に対して建設的であることを霊的な基礎として、これらのことを肉体的、精神的に守りなさい」(816-8)

あるご婦人は、テンプル・ビューティフルプログラム(訳注:クリニックが主催する患者のための集中的治療合宿)が終わるまでに癒しのプロセスについての確信を強めました。「これは私の魂が初めから知っていたことに対する熱意を新たにする機会となりました。すなわち、病気は、神によって創造されたものではなく、それによって何かに役立たなければ生じることはないのです。それゆえに私は以前にも増して、魂の成長過程において自分のために生み出した機会を生かしたいと思うようになりました。私の勇気は何倍にも増えました」

私たちは癒しの謎を少しずつ解明しています。私たちが肉体や感情の病に近づくことができ、それらに勝利し、その過程において何か神聖なものに触れたことを知るというのは、本 当に魅力的ではないでしょうか?私たちはこのようにして、私たち全ての目の前に横たわる運命により近づいていくのです。その運命とは、私たちを始まりにおいて存在せしめたかの影響力、かの力と一体となることなのです。

AREの機関誌 ベンチャーインワードの雑誌記事より
翻訳:光田菜央子/西崎康夫

ひまし油